バレンタインデーが近づくと封印されし黒歴史が目を覚ますんです。。
「若かりし頃の過ち」というのは誰にでもある。
若気の至り、
青春の青さ故の愚行、
消し去りたい過去、
などの様々な言い方ができるが、要は『黒歴史』である。
かく言う私も数えきれない程の黒歴史を量産してきたし、今もなおその数は更新中である。物心ついたころから今現在まで私の黒歴史生産工場の生産ラインは休みなく稼働し続けている。
ブラック企業にも程がある。少しは休んでもらいたいものである。
そのような私の黒歴史生産工場で作り出され、この世の中に出荷されてしまった数々の黒歴史達の中からとっておきのものを一つ紹介しようと思う。
時は10年以上前、私が小学5年生の頃の話である。
小学5年生といえば小学校という小さな世界の中ではベテラン。年下が増え、指図をしてくる年上も少ない。なんだか大人になった気分である。年下である低学年の生徒に私は自分の凄さをひけらかし、憧れを集めていた。学校帰りに一人でお菓子だって買いに行けるんだぞ!凄いだろ!!
要は、思春期に入り調子に乗っていたのだ。
そんな生活の中、1年に1度の全男子生徒が注目するビッグイベントの日が近づく。
2月14日。バレンタインデーである。
その日だけは男子生徒全員がお気に入りの服を着て、髪型を整え、机の中を漁りまくる。一時間に一度、いや10分に一度は机の中を確認する。私も例外でなく、かなりのスピードで机の中、鞄の中、靴箱の中を見て回っていた。期待と高揚によりそのスピードはウサイン・ボルトに匹敵する速さを誇っていたと記憶している。また、私レベルになると周りの目への配慮も忘れない。
「え?バレンタインなんてこれっぽっちも興味ねえよ??てかバレンタインって今日だったの!?興味なさ過ぎて知らなかった~~!!チョコとかいらないよ~~」
と言いながらお気に入りの服を着てボルトの如きスピードで机の中を確認する少年。それが私である。
しかし、そのような私の必死の努力もむなしくチョコレートは一つも私の手に届かなかった。努力は人を裏切るのである。
無残な結果を残し、その日1日だけ戦場と化していた学校から帰宅している最中、1つ年下の男子と遭遇した。なんとその男の子はチョコレートを持っていたのだ!!なんということだ!!!ずるい!!!
そんなことよりも重大な問題があった。私はいつもあることないこと言って自分が如何に凄いかをその男の子に誇示していたので、私がチョコレートを貰えなかったことを知られてはいけない。ましてや年下に負けたなどと知られては小5にしてぶくぶく膨れ上がった私のプライドが砕け散ってしまう!!!
「そういえばあひるってモテモテなんだよね!!チョコ何個貰った??」
!?!?!?!?!?!?!???!?
なんと殺傷力の高い質問をいきなり投げかけてくるのか。さては貴様なかなかの手練れだな?
「え?!ん~~~んん、んんと、、 さ、3個くらいかなあぁ~~?」
「誰からもらったの??」
「え、えっっとね、、それが、、良くわからないんだよねぇ??」
「え?どういうこと?」
「そ、そ、それがね、な、なんか、家のポストに名前も書いてないチョコが入れられてたんだ~! だから誰からのチョコかわからないんだ!!」
「3個も??」
「う、うん!!!!!そうだね!!!!!!!3個も名前なしでポストに入っていたなんてふしぎだなあああああああ!!!!!!!」
そこからの記憶はあやふやである。
その男の子とは今でも親交があるのだが、バレンタインの季節になると未だに
「今年はポストに入ってなかったの??」 と聞かれている。
今年も聞かれるのかと思うと今から震えが止まらない。。